臨床心理学教育についての個人的な研究の一環で、本サイト運営を行っています。仕事や研究のあいまですが、変更点がわかり次第、随時更新していきたいと思います。大学や大学院での心理学教育に関しては、本サイトの趣旨と異なることから掲載しませんが、ここでは臨床心理学を学ぶための予備校について、予備校を探される方の便宜をはかるため、調査結果について掲載しています。
 大学院受験予備校の情報を調べ、電話や無料相談会に参加するなどして得た情報をランキング形式で紹介します。評価内容や評価基準は、みんなが一番気にする料金、立地、講師、授業内容、合格実績など、出版活動など、その他特徴という分野に分けて掲載しています。  

 調査によると、大手予備校はひとり一人に割ける時間が少なく、かなり合格率が低いため、合格"率"を書けずに合格者"数"だけ書くなど、ごまかしているようにも見えます。これを統計学を扱う心理学では、"統計のウソ"として禁止されているのですが・・・大手予備校には関係ないのでしょうか。
たとえば、のべ100名合格していても、予備校生ひとりが、2つの大学院に合格していると実質50名しかいないことになります。予備校生総数が300名だと、6分の1(17%)しか合格していないことになります。合格のためには、大きすぎず小さすぎない予備校を選びましょう!

大学院入試の内容

臨床心理士指定大学院の入試では、多くの大学院が専門科目、英語、口述試験、研究計画書(第1種、第2種のみ)を課しています。ごく少数ですが、これに加えて小論文を課す臨床心理士指定大学院もあります。下記にて、臨床心理士指定大学院の入試の特徴を説明します。

専門科目
入試における専門科目とは、「心理学」全般のことを指します。臨床心理学を中心に、一般心理学(社会心理学・発達心理学など)や統計から出題されます。各分野の出題される比率や領域は、受験される臨床心理士指定大学院によって様々です。 
次に専門科目の入試問題の構成ですが、主に「用語説明」と「論述」からなります。「用語説明」とは、心理学の専門用語について説明する問題です。ここでは、心理学の知識をどれだけ習得しているかが重要となるでしょう。一方「論述」では、心理学の知識を基に、例えば、各心理療法の異同やある精神障害に対するアプローチについて論理的に述べることが求められます。論述問題では、知識だけでなく、論理を説明する力や文章を構成する力も試されることになります。これに加えて最近では、事例問題が出題されることもあります。

外国語(英語)
多くの臨床心理士指定大学院が英文を日本語訳するという入試問題を課します。リスニング、スピーキングの試験はありません。したがって、翻訳力(リーディング能力)を重視して能力を磨くことが必要です。ちなみに入試問題に用いられる英文は心理学に関する場合もあれば、全く関係のない分野から出題されることもあります。 
英作文を課す臨床心理士指定大学院もありますが、こちらは稀なケースでしょう。また最近では、TOEIC、TOEFLの成績の提出をもって、英語試験とする大学院もあるようです。

口述試験
口述試験はいわゆる面接試験と考えて良いと思います。志望動機など、一般的な入学・入社試験で聞かれる内容が多いです。研究計画書の提出が必要な臨床心理士指定大学院では、研究計画の内容について説明を求められたり、質問を受けたりすることもあります。また、実践に重きをおいている臨床心理士指定大学院では、ボランティアのような経験があるかが問われる事もあります。

研究計画書
臨床心理士指定大学院にはカリキュラム上「修士論文」を執筆することが義務付けられていることが多く、入試願書の出願の段階で「どのような研究を考えているか」を聞かれます(専門職大学院は除いて)。ここでは具体的な研究計画だけでなく、論文執筆のルールが守られているか、論理的な文章を書くことができるか、なども見られていると考えられます。
提出を求められた場合は、上でも述べましたが口述試験で質問されることが考えられます。逆に言うと、先に出願を求められるので、先行研究などをしっかり調べておけば面接への対策になるとも言えます。

 

 予備校を利用する強みとしては、最後にある「研究計画書」にあるかもしれません。もちろん「専門科目(心理学)」や「外国語科目(英語)」は大切ですが、ある程度の独学能力とモチベーションがあれば、予備校を利用しなくてもできる方も少なくはないでしょう。
ただ、「研究計画書」となると話は別です。研究計画書には書き方のお作法があります。心理学を学ぶ大学で卒業論文を書いてきた人は、ゼミの指導教官に学んでいますが(学んでいても、「できる」こととは異なりますが)、そうでない社会人や他学部からの入学を目指される方は、研究計画書も見当違いの書き方をしてしまうことがあります。研究計画書は、面接の際に参照されることが非常に多いですので、お作法を知らない場合は、予備校に通うことで研究計画書の書き方も教わることが重要ではないでしょうか。

 予備校は、研究計画書を学ぶ場所としては最適の場所かもしれません。予備校を大いに活用してはいかがでしょうか。